愛知県瀬戸市の、猿投山麓にある海上の森は、名古屋市近郊にある最後の広大な里山です。ここは東海地方にしか生息していないシデコブシをはじめとした貴重な生物が見られ、野鳥の種類も多い豊かな自然の宝庫です。現在、21世紀万国博覧会の開催予定地とされ、跡地利用としての都市化計画とともに、この場所の自然環境に影響を与えようとしている問題が起きています。ではどんな所なのか、トピックスなど踏まえてお届けします。
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自然通信(3)
初冬の海上の森

牧野 紀子(愛知県)

 先月の黄葉もすっかり落ち、森は冬の姿に変わりました。12月14日、林道上の落ち葉には霜が降りていました。この日は広久手町より森へ向かいます。ルリビタキ(雌タイプ)やコゲラ、シジュウカラ達が動き回っています。赤池に着き、水辺でお目当ての生物を探すと、いました、いました。去年の今ごろ観察会で教えてもらった水生生物、エグリトビケラ達が水の中で動いています。水底に溜まったコナラやヤマザクラの葉をかみ切り、糸で紡いだ巣の中で暮らしているのです。(目にするのは巣)まるで水中のミノムシ。この他8目40科83種の水生昆虫がNGOの調査(海上の森ネットワーク・1997年4月)で明らかになっており、ここの水環境の豊かさを現しています。

ツルリンドウの実
エグリトビケラ

 赤池周辺は夏にサンコウチョウが見れたり、野鳥の会愛知県支部の毎月行事「海上カレンダー」でホタルの観察会を行った所です。そして・・・万博の主会場となり、新住宅市街地予定のAゾーン内の場所なのです。

 海上の森について知ろう。「自然博物館・あいち」(海上の森の代替案パンフレットより)

 海上の森はスギ・ヒノキからなる人工林と、自然に出来た天然林からなります。天然林は裸地状態から始まってやがてアカマツ林、落葉樹のコナラ・アベマキ林、常緑樹の安定したこの地域の極相林ツブラジイの森へと何百年もの歳月をかけて遷移をしていきながら動いていきます。

天然林の遷移の図

 海上の森で主なのはコナラ・アベマキを主とした、所謂里山の雑木林と呼ばれる二次林です。樹木の種類も、虫や鳥も多く住む豊かな森です。また、極相林であるアラカシ・ツブラジイ森も里の神社などに残っています。こ森も名古屋市近郊では現在社寺林に残されている位で数少ない森です。生態が多様な天然林ですが、愛知県は森林面積が全国で41位、内植林率は全国4位なのです。今残された天然林がいかに大切かが分かります。

スギの人工林の図

 現在の万博と、それに伴う跡地利用計画はどんな問題があるのでしょうか?

愛知県商工部21世紀国際博覧会推進局のパンフレットより