ビックリニッポン日記 (2)

目黒 権太

 大学に入学して、一ヶ月余りが過ぎ、いつの間にか5月である。昨年の12月に、ニュージーランドの留学から日本に帰国して、早や5ヶ月余り経ち、ようやく、周りの環境に慣れてきた様に思う。最近、周囲を冷静に見ていると、あれっと思う経験をする。

 先日、電車に乗っていると、一人のサラリーマン風の人が駆け込んで来た。そこまでは、まあよく見かけるのだが、その人は閉まるドアに片足が挟まってしまったのだ。そこで、近くに居た若い外国青年と高校生ぐらいの男の子が、ドアを手で閉まるのを防ぎ、隙間を作ってサラリーマン風の男の足を抜いてあげていた。普通に考えて、この様な場合、礼を言うのが常識であろう。しかし、この時、サラリーマン風の男が取った行動は信じ難いものがあった。酒に酔っていたのか、恥ずかしかったのか、何も言わず、何事も無かったかの様に、となりの車両に歩き去っていった。これは、極端な例としても、日本人はお礼とか挨拶を省略しすぎている様な気がする。

 この前、私の通っている大学で、身体検査があり、何人かの医師が何百人の学生相手に検診を行っていた。そして、私の番になりごくごく簡単診察を受けて、最後に「ありがとうございました。」と言った瞬間、その医師は、急に笑顔になり、「偉いねえ、君。今日、初めてキチンとお礼されたよ。」と誉められた。突然だったのでビックリしたと同時に、この歳になって、お礼ができて誉められたのは、何より意外だった。

 日本人は、目で合図したりして、話を省略してしまう習慣がある。これは、日本人特有の行いだとニュージーランドに行って初めてわかった。最近の日本では、挨拶や礼という様な最低限のマナーまでいっしょに省いてしまう傾向があると思う。


                       

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